[2009年7月11日]
<蛹騒動6/擬態の限界>
毒のある蝶に擬態したツマグロヒョウモンには毒がない。鳥を騙せるから「生き残り」に有利なのですが、そのお陰で子孫が増え続けたら騙し通せない日が来るでしよう。間違ってエサにした鳥が毒のない事を学習すれば終いです。故に固体数が多くなり過ぎない方が安全(雌だけ擬態)。
また毒蝶の生息範囲を遠く離れれば、鳥はそもそも毒蝶の危険を知らず擬態の効用は減る筈。擬態種は擬態モデルを凌駕しては生き残り難くなると思います。
<蛹騒動7/ 人も擬態?>
「虎の威をかる狐」「狸寝入り」は演技的擬態、「粉飾」「偽証」「俺々詐欺」となると犯罪的擬態ですね。何れにしても少数意図的です。人に集団的、民族的、国家的擬態はあるでしょうか。あればその有効限界は?
この比喩は擬態の真意の曲解でしょう。昆虫は種全体が一斉遺伝的に擬態へ進化します。世紀半前、博物学巨匠達が数多の観察から擬態を着想推論した根源には、「生命」「進化」「自然=多様性」を統べる絶対意志への「畏敬」の念があったと思われるからです。
<トビモンオオエダシャク/隠蔽擬態・化学擬態>
大型シャクトリムシ、体長≒70mm、蛾の幼虫です。別名ドビンワリ。
面白いのが居るよ!庭からの家内の声で、今日は何じゃとデジカメを手に外へ。日課の毛虫取りで小枝に触ったら「ぐにゃ」としたとの弁。本で見た事はあったが、まさか我家でお目にかかろうとは、感激!
奴は小枝に色・形・角度を似せるだけでなく、体表を樹皮表面のワックス成分にまで似せ、且つ餌植物を移しても脱皮2回で又その木の成分に体表を変える。故に天敵のアリも気付かずその攻撃を受けないという「優れ者」(農業生物資源研究所資料を参照)。でも家の果樹の葉を喰尽くされ腹の虫が納まりません。
(写真は、サクランボの木の「優れ者」。夜は枝に寄り添い休憩?移動、採餌、もしている様子。昼寝型夜行性?)