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文/植木 務(大島村田麦地区在住)

[2001年5月13日]

<高山いまだ白し>
 連休中は未だ家の裏には残雪があり、これが完全に消えたのが数日前でした。建屋は暖かいのでしょう、雪は外壁から次第に遠退きながら消えていきます。1000m級の長野県境の山々は、まだまだ白いですし、日本アルプス北端の妙高連山(2000m級)は、夏近くまで田麦からでも残雪が望めます。

<春、朝晩、喧し>
 この頃は、朝4時を過ぎたかなと思うころから、空は白ばみ始めます。もう小鳥たちは囀り始めます。
 殆どの木々の若葉も萌え出だし、樹間を飛んでの親鳥が巣近くの幹や枝に止まる姿も見え難くくなり、営巣、育雛には格好の季節となった様です。

 ウグイス、キビタキ、カワラヒワ・・など縄張りを主張する鳥達の声々、夜はまたゲロゲロと、田圃の蛙達が鳴き出し始め、田麦周辺は、「静寂の厳冬」から耳に心地よい「喧噪の春」になりました。

<山菜盗り?>
 GWに入ると、田麦には、プロ級の「山菜盗り」が、例年やって来きます。他県から車で乗り込み、或いは宿舎などに泊まり、早朝から出掛けて「採り」、成果は「宅急便」などで、都会に送り出すそうです。

 中には素人の所作も交えてなのでしょうが、農家が栽培している「山菜畑」や「椎茸」を荒らす人達も居るそうです。ここに至っては、「10年以下の懲役」に処せられる「窃盗罪」に相当する疑いすら有るのではないかと思います。また、自山や田を管理していて、入ってきた外来者に注意すると、逆に「喰ってかかる者」すら居るそうです。

 何しろ村人にとっては、「自分の山」の山菜は、「収入源・生活原資」であります。部落によっては、「入山禁止の立札」を出したり、或いは「入山料」を取り、「案内人付き・イヴェント付き」での「山菜祭り」を催して、「自衛・管理」している所もあります。
 でも、懐の深い自然の豊かな土地柄では、昔ながらのル−ルを弁えた個人の「楽しみ」としての「山菜採り」には、特に目くじらを立てる事もしていない様です。

<カールさん、お久し振り>
 NHK−TVでお会いしました。
 5/11(金)夜、新潟だけ?の「地域番組(30分)」に、カールさんと、竹所集落(松代町)の人々との交流の場などが放映されました。

 カールさんはドイツの親日家庭で育ち、建築家として来日以来、取り壊される農家の再生復活の仕事をされているそうです。
 特に雪国の昔からの農家は、柱、骨組みが世界に類を見ないほど頑丈立派である事を知ったのだそうです。
 それらが消え去りゆく事を痛み、暖房、インテリアなどには現代の設備や世界の適材を用いて、「日本農家の復活」の仕事をされている、世界的な建築家です。
(参考:田麦通信000716<カールさん、こんにちは>)

<田麦川周辺散策>
 13日(日)は自然観察グループ:「やませみの会」の5月例会日。
 全国的に快晴。田麦も20度を超えたでしょう。何時も会社の送迎バスで通っている道路から見える所の辺りです。そこらを歩いての散策です。
 今は当地は多忙な田植時。出席者は少なく6名だけ。豊かな自然を「独り占め」出来る人数でもあります。

 バスからは一瞬で見渡せる範囲も、ゆっくりと歩いては時に立ち止まり、遥かに下の池のコイの大きさを目測し、群れて泳ぐ幼魚の塊りに驚愕し、上空の飛翔を双眼鏡で覗き、網で捉えた蝶をカメラに撮ったり、小鳥の囀りを確かめたり、木漏れ日の下を登ったりの、しっとりとした2時間半でした。

 私のメモで鳥達20種。ノジコを初めて教えて貰いました。キビタキに似た澄んだ声、黄色くて綺麗な姿。旅鳥でこの時期しか見られません。日本だけで繁殖する鳥の様です。ホトトギス(特許許可局、テッペンカケタカ)は全員が今年の初聴きでした。夏鳥です。

ツマキチョウ:紋白蝶より小さく、羽の先が黄、プリント模様があり綺麗でした。
ケナシヤブデマリ:葉は丸く先が尖り葉脈が濃く美しい。多数の白花が立ちます。家に帰りハンドブックを調べました、多分これです。

 ところで「田植花」と云われるタニウツギ、ピンクでどっしりと咲くのですが、今年は未だ見掛けません。この冬の雪の多さの故なのでしょうか。

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