[2003年12月23日]
<入道雲?>
冬と雖も日本海は暖かく15℃位らしいのです。大陸の寒気が押寄せてくると
風呂場に湯気が上がるが如く、海面から立ち昇った蒸気が冷えてモクモクと、
上へ上へと盛上がります。鼠色の北の空を背景に「入道雲」が背丈を増します。
冬将軍様の出でましだなと、ハンドルを手に横目で見ながら、海沿いの街から
山越えの村へと買物の帰路を急ぎます。
<大根堀り>
雪を被ると畑の大根は甘みを増すと聞きます。何度か浅い雪が降りました。
快晴の日に家内と大根を掘りました。掘るのは簡単、腰をかがめて雪を除け
引張るとすぐに抜けます。山の湧水から田への末流を堰き貯めてドロを洗い落
とす。全部で150本ほど。寒風を受けながら、その日は半分を作業しました。
青空の下、ヒヨドリがキキッキキッー、キツツキ(赤ゲラ)がタタタタタタ。
自衛隊機の黒影が一つ、轟音を残してブナ山の上を西から東へ急ぎました。
<白菜鍋>
夕食の手伝いで白菜を取りに。家の前の村道を隔てた対面に車庫があり、
そこに、わが家の菜園の産物が雑然と置いてあります。
カッパを着て帽子を被り膝下迄のゴム長を履き、手にはシャベルで雪を除け、
玄関の階段を下って車庫に到達・・首を曲げ吹雪をかわして母屋に「帰還」。
その日の晩は、よく降りました。「この調子では明朝までに一尺かな」。
<田麦寸景>
刻々と変わる冬の空。曇天の棚田を下へと拡がる景色に色はなく、遠く県境の
峰々に至るまでの視界も寒々と濃淡で描く墨絵の一幅を見るが如くに写ります。
そこに突然天が割れ小さな空間に青空が出ます。雲の厚みの断層に、まばゆい
ばかりの陽の光。光の筋は帯となり斜めに差して山肌に。雲に合わせて足早に、
光束の帯は南へ流れます。周りの暗い全天の隅に、輝くばかりの後光の一条。
まさに、「レンブラント」の世界です。